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QEEGと客観的脳画像

QEEG(定量的脳波測定)と客観的脳画像

当院では提携先の外部機関にアウトソーシング(外注)を行い、精神疾患の方の脳機能評価の補助的な判断として客観的な脳画像検査を取り入れています(注意:これだけで病気の診断が出来る訳ではありません)。そのうちの代表的なものがQEEG(定量的脳波測定)です。これは現在精神疾患の補助診断として一部の医療機関で使われている脳SPECT(スペクト)や光トポグラフィーといった脳血流に基づいた脳機能検査と比べて格段に精度が良く、個人個人の脳の状態が約40ページほどの詳しい報告書として提供されます(自費:外部機関により料金は異なります)。

そもそも脳波とは何かと言いますと、脳の電気信号であり、脳細胞の活動を反映していてさらに瞬間瞬間(約0.1秒ごと)において分析できるもので、従来の脳波測定は1929年以降約90年間医療の現場でなされてきました。現在でも主にてんかん発作の鑑別等に利用されていますが、空間分解能(脳のどの部位にどういった異常が認められるかという精度)が低くしかも脳の深部(脳の奥の部位)の働きが不明なので精神疾患や健常者の脳機能について何らかの有意義な情報を与えられませんでした。しかし、近年のコンピュータや脳科学の進歩により、1980年代より開発が進められた技術の一つが、QEEG(定量的脳波検査)です。

最新式の機器では、集めた脳波データをデジタル化して特殊なコンピュータ処理(高速フーリエ変換と言います)を通じてリアルタイムにパソコン画面上に5ミリメートル四方の3D脳エリア(ボクセルと言います)として表示させる事ができます。また測定された情報全てをデータベース(比較分析用に用意された多数の健常者の脳波情報)に入れ情報処理する事により「定量的マッピング」(周波数ごとに各脳波が現れた量や頻度を、脳の詳細なエリア別に地図状にカラーで表示させる技術)が可能になり、さらにその人が持っている脳機能の強み(ポテンシャル)・弱みを推測する事ができたり、脳エリア間のつながり(チームワーク)の良し悪しを分析する事も可能です。別ページに記載の脳波トレーニング(ニューロフィードバック)を行う場合も大変参考になる情報である為スタンダードで行われる様になっています。

エビデンス(科学的根拠)も徐々に蓄積されてきており、2006年に米国のルイジアナ州立大学で行われた研究によれば、26名のADHDの対象者へのQEEG実施により94%の精度(正確には感度:sensitivity)で診断が一致する事が判明しました(Quintanaら,2006年)また、米国デューク大学のRabiner博士によれば、「QEEGは、ADHDの診断においてDSM(米国精神疾患の診断統計マニュアル)やコナーズ検査(CPT)よりも、あらゆる研究結果から総合して精度は上である。」と述べています。2012年には、別ページに記載の脳波トレーニング(ニューロフィードバック)とともに、米国小児科学会(AAP)により、ADHD(注意欠陥多動性障害)の児童に対する補助診断やセラピーとして、薬剤と同等の「レベル1」(ベスト・サポート)の格付けを認めています。またFDA(米国食品医薬品局。日本の厚労省に当たる行政機関。)によってクラス2(上から2つ目の重要度ランクの医療機器)の医療機器として承認されています。

上記検査にご興味がありましたら、当院受付へ遠慮なくご相談ください。

(QEEGの一例(成人女性・ADHD))


(一般脳波データからQEEGへの変換イメージ。
 図の右端の縦の列が全てQEEGデータです。)